イロノココロ。

カラー(色)が人の行動や心理に与える力と、それをデザインに活用するための方法についてご紹介しています。

【白】ジョブスが嫌った白

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Apple社のスティーブ・ジョブスは自社の製品に「白」を使うことを極端に嫌い、嫌うというよりも拒絶していたと言われています。その昔LisaやApple IIを設計したときも、ベージュにこだわり、それまでの金属的なコンピューターのイメージを一新して大成功を収めました。実はiPhoneでも白色を出すことすらかなり嫌がっていたそうです。今もしも存命だったら根強い人気の白いiPhoneは存在していなかったのかもしれないですね。

こういうと不思議な感じがあるかもしれませんが、白は大変主張の強い色です。光りを全て反射して成り立つ色なので、見る人に対してまっすぐ前に進んでいくという力があります。進出色の代表的な色です。花嫁の存在感がひときわ強く感じられるのも、全身を白で包んでいるからにほかなりません。

先日デザインをしたばかりのTシャツで、こんなことが起こりました。

 

・白いTシャツに紺色でプリントというご注文でしたので、お客様のイメージをデザインにして提出し、大変気に入っていただきました。そこまでは良かったのですが、今度は紺色のTシャツに同じデザインで「白」でプリントのバージョンも作ることになりました。

・紺色のTシャツでプレゼンを行ったところ、「不思議なんだけど、全然違うイメージに見えてしまうんです」というお言葉がありました。「なんだか体操服にぜっけんを貼ったみたいな感じで、白いTシャツの時と雰囲気が変わってしまって...」。確かにそのとおりでした。全く同じデザインなのに。

その時のデザインと少し変えていますが、こんな感じです。

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実際上側の四角が紺地に白の場合、全く同じ大きさなのに白の方が大きく、前にズンと進んでくる感じがあります。それは白色度が高い純白の時に最も顕著に起こります。

同じ白系でもほんの少し色味が入ったオイスターホワイト、ミルキーホワイトや白にほど近いグレイ系のパールグレイなどになると、白独特の強さがなごんで、柔らかく大人びた印象に変わります。

 

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今回のデザインは白を使うことにこだわったため、結果的に少し変更して白と紺の対比度合いが少ないものにして完成させましたが、こんな現象が起こったときの対処方法としては白に少し色味を加えることも可能性として覚えておくと良い結果になる場合があります。

そういえば10年以上前に知り合った看板やさんの社長が「自分は文字に白は絶対使わないようにしている。白と指定があっても、5%ぐらい黄色をいれてやると、不思議と全体になじんで柔らかい印象になるんだよ。逆に完全に純白の文字だと薄っぺらいチープなイメージになるから面白いもんだ」とおっしゃっていたのを思い出しました。

ひとこと白といっても上の例にあげた純白だけでなく、様々な白の種類があるので、作成するデザインのイメージにピッタリと合致した白を探してみることがとても大事だと思っています。

逆に「白を使いこなす」ことができたら、デザインの洗練さが更に向上すると言っても過言ではないと思っています。




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