イロノココロ。

カラー(色)が人の行動や心理に与える力と、それをデザインに活用するための方法についてご紹介しています。

色が光で変わる

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15年以上前にホイール屋さんの壁面看板を取り付けた翌日のことです。お客様から「頼んだ色と違う色の看板がついている」と電話がありました。

何度も打ち合わせを繰り返し行い、材料も正しく選んで、実際に看板を作ったのも自分だし、「一体全体何が起こったのだろう?」。上の画像はお客様が指定した色です。

その日は爽やかな晴天。鮮やかな青空の中を、暗雲たれこめたような気持ちで現場に向かいました。

 


現地に到着した途端、何が起こったのかわかりました。日光が大変強く、看板自体の「見え方」が変わってしまっていたのです。

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実際に使ったシートの色よりも何段階も明るい青に見えていました。持参したシート見本帳を看板の横に並べて見比べてもらい、お客様も納得していただくことができました。

この時私はまだ光と色の見え方について、これほどまでに大きく変化するという経験が足りなかったため、このようなことが起こるという事前説明ができていなかったため、驚かせてしまう結果となってしまいました。その後はこの経験を踏まえ、必ず事前に色の変化についてお伝えするようにしています。

ちなみに夜間は以下のように見えるはずです。

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ご存知かと思いますが光は「電磁波」の一種で、物体に当たった光が反射して目に入った波長の成分が、「色」として人に認知されます。太陽光、蛍光灯、電球、LED照明など、同じような白色の光でも見え方が異なっています。

また上の事例のように同じ「太陽光」であっても、その光の強さによって変わるのも事実です。

サイン、懸垂幕、旗、外壁等、屋外で使うものをデザインする時には、このようなことが必ず起こることを念頭にプランや色の選定を行うことが必須ですね。そして発注者の方にもその可能性をお伝えしておくと、後々のトラブルを未然に防ぐことができるかと思います。

色は光や光源だけでなく、以下の要素でも変わって見えます。

・面積
全く同じ色を使った素材でも、小さな面積と大きな面積の時では見え方が変わります。大きくなるほど明るく鮮やかに見える面積効果が発生します。壁紙を見本帖で選ぶときに意識しておくことが大事です。

・方向/角度
透明感やメタリック感のある色の場合に起こりやすいことですが、光の干渉によって見え方が変わることもあります。

・人の目(視覚)
一般的な色覚を持った人でも、それぞれの人によって実際に見えている色が若干ですが異なっています。色を感知する色覚細胞のスペックが一人ひとり異なるためです。あと年を重ねて白内障を患うことでも色が変化していきます。



※写真は今回の話題の現象を分かりやすくお見せするために合成で用意しました。

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